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’08 1/19・20 バックカントリー・セルフレスキュー講習in白馬 2日目。 [BC セルフレスキュー講習]

今回の講習。皆さん宿泊まり・・・。車中泊は私だけ・・・。ちと寂しい・・・(^^;
朝、外は-15℃くらいになったかな・・・?
雪洞泊対応で購入したシュラフは、車内温度-5℃程ではちと暑いくらい・・・。
なのに・・・、今朝もお腹具合が不調で、また5分遅刻しちゃった・・・。

さて、今日はゲレンデトップから上がってのレクチャー。
積雪量とコンデションが良ければハクノリ方面・裏ルートでの滑降を含めたものになる予定だったらしいが、かんばしくない雪の具合で、ハクノリスキー場から上がる、半デーパウダーポイントでの実施となった。



リフト終点からシールを貼り、林道を上がる。
行動開始時、サブ・リーダーはビーコンを受信モードにして列のトップに立ち、メンバーのビーコンの発信を横に通過させながら確認する。そして最後尾で、受信と発信の確認をしてもらう。

3年ほど前にも雪崩れ事故のあった沢の手前で講義。
尾根の木と沢の中の立ち木を見比べて、沢には大きな木が無い事を指示。雪崩の流路となって木が育たないことを読み取る。また、この沢の上部は斜面が立ち、地形変化が著しいことを地形図からも読み取る。
斜面変化が積雪層に張力や圧縮力を与え、自然発生で雪崩を引き起こすからだ。

今季はまだ積雪も少ないので、ここの脇を上がる。

その前に、取り付き地点でのアバランチテスト講習。
ピットを掘り、スノーソーで切れ目。上の新雪のスラフの安定度を測る方法。と、ハンドコンプレッション。
ピット作成の場所選定の注意点と、テストにかける時間の注意。
スラフ(スプレー)も量が多いと雪崩れ並みに危険になるので(と言うか、雪崩の一種。)、流れる強度を確かめる。


・必ず行動する斜面と同一方向の斜面でテストをする事。落雪がある木の下などでは落雪による圧で結果が変わってしまうので、テスト場所の上がオープンである事。
・よりいい雪中のサンプル(テスト結果)を得る為、素早く掘り、テストを実施する事。
雪の中の情報を得たいのだから、なるべく外気の影響が少ないうちにと言うのがその理由。


テスト結果は総じて安定。



2班に分かれて取り付きに入り、ルートファインデイング。
危険地帯の把握と行動の注意、パーティ(メンバー力量)に合わせたコース取り。
ルートファインデイングは、今回、正確に行動方向を定めると言う事より、より安全なルート取り、と言う意味合い。
危険地帯(沢の中)通過での行動の方法。
危険地帯行動の仲間を注視。行動は素早く。雪崩れ注意の場合は行動者は上を見る事。
TOPは安全なところでルートを定め、危険なところで迷って立ち止まる事のないように。


ある程度、ハイクアップしたところで、互いの班の各ルート、行動の検証。メンバー意見で反省点などのディスカッション。



中締めの言葉として、
「昨日しつこくやったビーコン探索、これからやる搬出はあくまで起きてしまった時の為のもの。そう言った事を未然に防ぐ為の行動が、弱層テストであり、ルートファインディングであったりする。遭わない為にはどうするか。これが最も重要な事。」



行動再開前と仮定して、各自アバランチテスト。
テストでは、上から20cmの弱層、手首二回。
上から40cmの弱層、ひじ二回。
1m肩で力を入れて。

行動は可能と判断。

だが・・・、この深さ1mの地面に近い弱層。粗目から角が取れた丸い氷の集まりなので、今後の積雪温などの推移次第だが、全層雪崩れに繋がる危ないもの・・・。地表に近い分、地温の影響もあるし、春には気になる層である・・・。
「急な斜面・春先の雨・斜度変化で張力が掛かる場所」などで上部積雪の重さが増すと・・・。
一度降って、一旦かなり降雪が空いたのか・・・。貴重なデータかもしれない・・・。




トラバースをして尾根を越え、安全な沢に変える。ここからが本題。
ツアーで行動中、一名が雪崩に巻き込まれたとの想定で、ビーコンを入れ埋没させたザックを捜索。


仮想条件1
前走二名は無事に滑降。三人目のAさんが雪崩に巻き込まれる。

消失点注視。雪崩停止後時間確認コール。
自分達の位置からAさん消失点まで30m。消失点からデブリ末端までおよそ50m。流路幅10m。
その場にいた他パーティーが捜索に協力する事となり、12名での救助。


全員ビーコンを受信モードに切り替え、受信範囲の広いアナログ使用者が先行サーチとリーダー指示。
捜索先発二名が消失点に急ぎ先行。そこからゆっくりとデブリまでビーコンサーチ。

後続メンバーは二次雪崩れ警戒と共に、一名を二次雪崩れ監視。他メンバーはスコップの準備をして先行に合流。
先行はビーコンの反応(表示距離など)を大きな声で同先行者、及び後続に知らせ、先行二名の内、近い方片方が細密サーチに入り、片方はゾンデの準備。
(スキーを履いているので細密に入る前に、雪崩れ流路外に板を脱ぐ事。)

後続隊はゾンデ・スコップ準備と、上部の二次雪崩れ監視とは別に、一名を見張りにする。
(捜索に夢中になっていると、上流の声は聞き辛くなるため)

アナログビーコンで先行役になった私は、先に接近した同先行役にサーチを任せゾンデ準備に回ったものの、サーチ役が迷っていたのでゾンデを持ってビーコン検索に加わる。
f1の距離ダイヤルが最小で、ダイオードが2灯から変わらない地点で迷ったが、音量の差がかすかに出たのを頼りに雪面に向けたところでレッド! 3灯目(およそ30cm)が光り、思わず「ゼロ!」と叫んでゾンデを刺し、場所を特定。スコップを準備していた人に掘ってもらう。
(講習なんだけど、なんか妙に気持ちが入っていたね・・・。3灯が点灯した瞬間、叫んでるし・・・(^^;))


発見後、直ちに安全な場所にピットを2個掘り、Aさんを移動。状況を見る。
(この時に声を掛けるのはとっても良いと言われた。なかなか声って出ないものです・・・。)
ピットを二つ作るのは、まず遭難者を横にするためのものと、スキーソリ作成や低体温時の手当てでお湯を沸かしたりする等の作業場所である。


仮想条件2
右足骨折。
レスキュー(警察等)に連絡を取り、150m下の林道でのヘリでのピックアップが可能と連絡を受ける。
(想定到着時間は30分)

直ちにもう一つのピットで、スキー板でそりを作成。ゾンデを添え木にして右足をガムテープやテーピングで固定。
その間、リーダーから手の空く者二名で下降ルートの工作を指示。先発して地形を把握。ソリが引きやすいルートを作って、リーダーに先行の状況を伝える。
さらに後続者が危険箇所でのアンカーを作る。

実際に怪我人役をを乗せたスキーソリを降下する。

林道まで降り、終了。



スキーソリ作成開始時、ヘリの連絡があったと仮定して、林道ピックアップまでの時間が30分だったが50分近く掛かった事とか、スキーソリが途中で崩壊しそうになるなど課題はあったものの、実際に人を林道まで降ろす事が出来た。
初参加では次にする事と、次の次に何をするかが頭の中で繋がっておらず、作業全体の流れを把握していない事がわかった。リーダーだけでなく、メンバーが流れを知っていると言う事は、救助作業全体の流れをよくする。いい意味での、各人各々の判断で先行動作が出来ると言う事。
ひいては行動の速さに繋がり、けが人も、救出側も、安全な場所にすばやく移動できると言う事。


しかし・・・、12人掛りでも一人のけが人搬出がこんなに大変とは・・・。

ものすんごい内容が濃い、二日間のバックカントリー・セルフレスキュー講習でした・・・。



本人が忘れないように文字にしていますけど、実際にやらないとダメですね・・・。
広いところに埋められたものを、電波を頼りに探すのって、最初、愕然としますよ・・・。
軽いカルチャーショックでした・・・。

あと、旧型とか言われちゃうF1フォーカスが、意外と高いサーチ能力がありました。
長距離での受信はアナログに分があり、サーチに入る前2mまではデジタルが埋没点に急速接近。しかしそこからデジタルがピンポイント特定に意外と時間がかかっている印象でした。もちろん慣れが大きいです。
仲間内でもちょこっと埋めてやって、誘導の出方などを知っているだけで全然違うでしょうね。
F1は音とダイオードのシンプルなものですが、デジタルを差し置いて埋没点を特定する事三連続でしたよ。

救助体験は・・・、これだけ大変だったので・・・、怪我したらしゃれにならないくらいの事だと、深く実感しました・・・。
いい経験でした・・・。(いい経験で終らせちゃいけないけど、いい経験で終らせるようにしたいね。出来れば、実践など無い方がいいのだから・・・。)


帰りは私の車が離れているので、メンバーと後で温泉で合流の予定が、宿での会話の結果食事となったらしくて(連絡先の交換前だったから)合流できず。(昼飯時間も無しで取り組んでいたから、確かに腹が減っていたし・・・)


ETCの通勤時間帯割引の事もあって、仕方なく18時に白馬を離脱。帰路に就きました・・・。


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コメント 8

月夜

お疲れ様です。
しかし本当に、実践する日が来ないことを祈ります。
訓練だけで終わっておいてほしいですもんね。
by 月夜 (2008-01-25 04:09) 

piano

-15℃?さむ~~!
by piano (2008-01-25 06:15) 

北陸のkita

なかなか知らないことばかり
雪崩 セルフレスキュー 一度はちゃんとしたの受けなくちゃいけないですね。。   
滑りのレッスンは数多くあっても、こういうのに参加する人は少ないですね。  山も滑りもできる講師の方・・・すばらしい
by 北陸のkita (2008-01-26 17:51) 

袋田の住職

今年は、けっこう寒波もきてそこそこ寒い冬になりました。
久慈川のシガ今朝までに4回流れました。
by 袋田の住職 (2008-01-27 18:28) 

HOKUTEN

月夜さん、こんばんは。
これは使う事が無い方がいい講習ですね・・・。
でも、いざ起きてしまった時の為に、しっかりと復習もしておかないと・・・。
by HOKUTEN (2008-01-29 00:07) 

HOKUTEN

pianoさん、こんばんは。
結構な冷え込みですね・・・。
でも、これくらい冷えないとと思ってしまう気持ちもありまして・・・。
キンキンに冷えると言う感じです・・・。
by HOKUTEN (2008-01-29 00:11) 

HOKUTEN

北陸のkitaさん、こんばんは。
講習自体は地味ですし、レスキューと言うのは自分への講習と言うよりは、同行者(友人など)に対してのもの・・・。
なのに意外とちゃんと受けていなかったなぁと・・・。
一応、レスキュー前の、行動を決定する標準的アバランチテスト(弱層サンプル)の取り方もありましたけどね・・・。
この方、山岳ガイドの資格もあるのです。
凄い人です・・・。
by HOKUTEN (2008-01-29 00:23) 

HOKUTEN

袋田の住職さん、こんばんは。
急に冷え込みましたね・・・。しかし、降雪量は少ないです・・・。
シガが流れるなんて・・・、袋田も寒そう・・・。(「寒そう」じゃなくて、寒いんですね・・・(^^;))
川から湯気のように水分が霧状に上がったりするんでしょうね・・・。あれもまた、幻想的で・・・。
by HOKUTEN (2008-01-29 00:30) 

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